黄金湯 新宿店 リニューアルプロジェクト
〜新宿に50年後も続く銭湯を。記憶を継承し、次世代の風景を創る〜
プロジェクト概要
東京都新宿区・東新宿エリアにて、創業88年以上の歴史を持つ老舗銭湯「金沢浴場」を全面改装し、「黄金湯 新宿店」として再生するプロジェクト。 設備の老朽化や後継者不足により存続の危機にあった街のインフラを、クリエイター陣の力と新たなビジネスモデルの導入によってアップデート。多様な文化が交差する新宿に、「日常へと還っていく場所」を新たに創出します。
歴史の継承と、未来へ向けた「再生」の決意
昭和13年(1938年)から時代とともに屋号を変えながら、地域に寄り添い続けてきた「金沢浴場」。しかし、築40年を迎えたマンション型銭湯の設備は限界を迎え、コンクリートに埋められた配管は悲鳴を上げていました。
「このまま失わせてはいけない。銭湯という文化を、確かな形で未来につなぎたい」
私たちは、単に古い建物を残すこと(保存)ではなく、しっかりと利益を生み出し、次の世代が「継ぎたい」と思える形へと事業構造そのものをアップデート(再生)する道を選びました。
プロジェクトを牽引するメンバーの想い
本プロジェクトは、ただ「新しい銭湯をつくる」だけではありません。新宿という多様性が交差する街で、これからの公衆浴場はどうあるべきか。各分野のプロフェッショナルたちが結集し、それぞれの視点から「未来の銭湯」を形にしています。

永山 祐子(内装設計)
新宿は、古い建物と新しい建物が混在し、異なる時代のレイヤーが重なり合った独特の魅力を放つ街である。50年間の記憶を蓄積してきた金沢浴場の中にも存在している「時代の重なり」を表現したいと考えた。象徴的な銭湯絵モザイクタイル、かつて存在した曲面天井といった「過去の断片」の上に新たなレイヤーを重ねていった。懐かしくて新しい黄金湯新宿を多くの人に体験して欲しい。

清水 みさと 氏(エクスペリエンスアドバイザー)
銭湯とサウナが大好きないちユーザーとして、大好きな黄金湯が手がける金沢浴場のリニューアルに携わらせていただきました。さまざまなサウナや風呂を巡るなかで、心地よかったこと、こうだったらいいな、という記憶をたよりにエクスペリエンスをお伝えしただけですが、すてきな肩書きまで作っていただきました。銭湯という日本の大切な文化の呼吸が生まれる瞬間に立ち会えて、幸せです。この場所が、誰かの銭湯が好きになるきっかけになりますように。

新保 朋子(温浴プロデューサー)
激動の現代社会における公衆浴場のあり方を、銭湯の「女将」として日々奮闘し、模索する中で、女性の視点や感性が欠かせないものであると確信するにいたりました。新宿という多様性を集約した場所で、新たに生み出す公衆浴場の可能性を思い描いたときに、今回は女性のクリエイターと共に未来を切り拓きたいと考えました。女性ならではの「勇気と繊細さ」を以て、年齢や立場を越えて誰もが受け入れられる“開かれた場所”を現実のものにしたい。築50年を超える古い銭湯が、これまで刻んできた歴史を大切に受け継ぎながら、新しい公衆浴場の未来をつくっていきます。

高橋 理子 氏(クリエイティブディレクション・ブランディング)
東京店に続き、クリエイティブディレクターとして新保夫妻の情熱に並走してきました。今回の新宿店において大切にしたのは、店主・朋子さんが抱く「銭湯の新たな社会的役割」への確信を具現化することです。住宅街に溶け込み、地域に優しく寄り添う場所でありながら、新宿らしい多様性を受け入れる強さを持つ。その両立を目指し、朋子さんと対話を重ねる中で、建築家・永山祐子氏との協働という答えに辿り着きました。これは単に「女性がつくる銭湯」を目指したものではありません。一人の経営者が、伝統ある文化を未来へつなぐために選んだ、小さくも確かな挑戦の形です。その風景が、日本文化に新たな光を灯すと信じています。
著名クリエイター陣と挑む「記憶を継承する空間設計」
■ 昔の面影と最新技術の融合 浴室には、かつての金沢浴場の面影を残すため、剥がれてしまったタイル絵をAI技術によって復元。懐かしさと洗練が同居する空間を実現しました。
■ 没入を生むサウナエリア「THE CAVE」 まるで洞窟のような丸みを帯びたサウナゾーン。溶岩タイルで蓄熱された「THE ABYSS」や、優しく包み込まれるような「THE COCOON」など、都会の喧騒を離れ、精神の奥深くまで没入できる圧倒的な体験をデザインしています。




環境課題の解決と、新たなコミュニティの創出
持続可能な施設運営のため、環境エネルギー面やコミュニケーションのあり方においても先進的な取り組みを導入しています。
■ 民間初「太陽熱給湯システム」の導入 太陽の熱を直接集めてお湯を温める「太陽熱集熱器」を屋根に設置。太陽光発電の約3倍とも言われる熱エネルギー効率を活かし、CO2排出量とエネルギーコストを大幅に削減。この取り組みは、民間企業として初めて東京都の助成承認を受けました。
■ 開かれた「湯の場」としての番台エリア ガラス張りの開放感あふれるフロントには、DJブースとビアバーを併設。自社醸造のクラフトビールをワンコインで提供し、お風呂に入らない方でも気軽に立ち寄れる、新しいコミュニティのハブを目指します。
1,500万円以上の支援。人々の期待が証明した「銭湯の価値」
本プロジェクトの実現にあたり、クラウドファンディング(CAMPFIRE)を実施したところ、私たちの想像を遥かに超える反響が寄せられました。
開始わずか75分で目標金額の300万円を達成し、最終的には1,900名を超える方々から、目標の525%にあたる約1,570万円もの温かいご支援をいただく結果となりました。
「リニューアル前の金沢浴場に通ってくださった方は再開を喜んでくれるだろうか」——そんな当初の不安は、皆さまから寄せられた応援メッセージによって完全に払拭されました。この圧倒的な支援の輪は、現代の人々が「心に余白を生むリアルな場所(銭湯)」を本能的に求めていることの何よりの証明です。
都内の銭湯は現在550円。誰もが気軽に利用でき、「国民の衛生を保つ」という本来の役割を今も担い続けています。
今回の『黄金湯 新宿店』の改装は、私たちにとってあくまで通過点です。 私たちはこれからも「お客さまが喜ぶこと」を起点に、銭湯の可能性を広げ、街の風景と多幸感を未来へと繋いでいきます。
小池都知事もご視察に。期待が高まる完成お披露目会
グランドオープンに先駆け、本プロジェクトにご協力いただいたクリエイター陣や関係者の皆さまをお招きし、完成お披露目会を開催いたしました。
当日は、小池百合子東京都知事にも現地へ足をお運びいただきました。民間温浴施設として初めて導入した「太陽熱給湯システム」をはじめとする環境課題解決へのアプローチや、歴史の記憶を継承する空間設計をご視察いただき、次世代の公衆浴場のあり方として高い関心を寄せていただきました。


皆さまからの温かいエールと大きな期待を胸に、いよいよ新宿の地で新たな歴史を刻み始めます。
